京都というと、皆さんはどんな景色を思い浮かべますか?
石畳の路地や、歴史あるお寺でしょうか。
少し足を伸ばして、京都府の北部へ。
そこには、私たちが大切にしているふるさと、
「綾部(あやべ)」があります。
一見すると、緑豊かなのどかな田園風景。
でも実はここ、アパレル業界の人たちの間では
「どうしても良いものを作りたい時は、綾部に頼む」
と言われるほど、特別な場所なんです。
今日は、そんな綾部の街と縫製の、ちょっといいお話です。
朝霧に包まれる由良川
綾部に初めて来る方は、その空気のおいしさに驚かれます。
街の中心を流れる母なる川、「由良川(ゆらがわ)」。この川がもたらす潤いが、綾部のものづくりの源です。
綾部は昔から、朝霧が立つほどしっとりとした気候で、きれいな水に恵まれていました。実はこれ、デリケートな「蚕(かいこ)」を育てて、美しい絹糸を紡ぐのに、これ以上ない環境だったんです。
「糸のまち」として栄えた歴史の中で、誰もが知るあの肌着メーカー、「グンゼ」もこの地で生まれました。
一本の糸を大切にする心。それが街全体に染み渡っているからこそ、綾部の人たちは自然と「布」や「服」に対して誠実に向き合うようになったのかもしれません。
歴史が残る、グンゼの本社建物
街を歩くと、そんな繊維の歴史を感じさせる風景に出会うことがあります。
昔ながらの商店街や、世界の肌着メーカーグンゼの建物。
最先端のミシンが動く工場のすぐ近くに、こんなレトロな景色が共存しているのも綾部の魅力です。
職人たちは、この穏やかな景色の中で、日々コツコツと技術を磨いているんですよ。
肌に触れる、品質へのこだわり
さて、綾部の縫製が「全国屈指」と言われるのには、理由があります。
それは、この街が「肌着(インナー)」づくりで腕を磨いてきたからです。
肌着って、すごく正直なんです。
縫い目が少しでも雑だとチクチクするし、生地を引っ張りすぎると着心地が悪くなる。ごまかしがきかない、一番肌に近い場所の服。
そんな「世界一、人にやさしい服」を作り続けてきたから、綾部の職人さんたちの技術は、とてつもなく繊細になりました。
派手なファッションも素敵ですが、見えないところほど丁寧に。
そんな京都らしい「粋」な心が、ここのミシンの音には込められている気がします。
今日もこの街から、まごころ込めて。
今、綾部の工場では、肌着だけでなく、有名ブランドの服やスポーツウェアなど、さまざまな製品が縫われています。
もし、あなたがクローゼットのお気に入りの服を手に取ったとき、
「あ、これ着心地いいな」
そう思ったら、もしかするとそれは、綾部のやさしい風と、職人さんの丁寧な手仕事から生まれたものかもしれません。
京都の山間にある、縫製のまち。
派手さはないけれど、確かな技術と真心が、今日もここから全国へ届いています。